「胎児」

 星をかぞへて
 宿の内に佇む
 青い星に涙ぐみ
 白い星に縋りつきたさ
 ともに止むことなし
 紅い星に願いを慄き
 かつ近寄り
 悴んだ小指をからめる

 星をかぞへる宿のなか
 宿は唸り
 その足はわななく

 やがて外へと生まれむ
 罪無きあたたかき水の宿
 どうか死なぬやうにと
 祈る胎児の涙
 今
 こんこんとして流れ出づる
 直に生まれむ
 命生まれむ

「胎児」

「胎児」

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-09-29

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