影が見つかったらしい
「影が見つかったらしいよ。膵臓だってさ」電話の向こうで彼女が僕にそう告げた。
あの人が不安を抱いている顔を想像しながら、僕はそのことに理解ができないでいた。
なんでそんな顔をするんだろう。当然のことじゃないか。
そうならないと感じないこともあるのかもしれないよ。
さまざまなことが僕の理解を超えていく。
予期せぬ出来事は、予期せぬ時に、どこからともなく大きな音を鳴らしてやってくる。
その音が聞こえると、僕の心臓の鼓動はどんどん速くなっていく。
「悪いことは重なるなあ」そんな歌詞が今まで以上に僕に寄り添いだす。
影が見つかったらしい