「恋した瞬間、世界が終わる」の“ねじまき鳥クロニクル”覚え書き1

「恋した瞬間、世界が終わる」の“ねじまき鳥クロニクル”覚え書き1

※これは、本編についての覚え書きです。

村上春樹の「ねじまき鳥クロニクル」
それを読んだのは、2003年頃。
切っ掛けは、「クロスビート」という洋楽雑誌のレディオヘッドのトム・ヨークのインタビューからだ。

そのインタビューの内容は、はっきりと覚えてはいないが、ちょうどレディオヘッドが「ヘイル・トゥ・ザ・シーフ」をリリースした頃。
トム・ヨークがその頃に影響を受けたことについて話していたと記憶する。
(久しぶりにCDのライナーノーツを読み返したら、そこに書かれたいたので、記憶違いかもしれないが)。
その中に、村上春樹の「ねじまき鳥クロニクル」の根底に描かれていたダークサイドについて触れていた。

僕の文章(語彙力、言葉のストック)を構成する主に、洋楽雑誌のインタビュー記事と、洋楽のライナーノーツ・翻訳が大きい。
当時、僕は洋楽教だったため、雑誌を何度も読み返して(Rock名盤コレクション・ガイドという本を特に毎日眺めていた。ロッキンオンやスヌーザーも好きだったけど、読み始めたのがクロスビートだったので思い入れが強い)、知らず知らずのうちに、考え方や言葉の備蓄庫へと流れていった。

「恋した瞬間、世界が終わる」を現在、執筆していますが、その間に思い起こされるように読みたくなった本が色々とあり、その一つが「ねじまき鳥クロニクル」でした。
2003年頃に古本屋で購入して、引き込まれるように読んだ記憶。その当時、僕は小説を読むことがほぼなく、というのも、高校卒業後に、まあ、社会に取り残された感が強まり、それまでの自分の不勉強さを改修するかのように、本を読み始めました。
その取っ掛かりの頃に出会った本でした。

引き込まれるように、夢中になり、割と早く読み切った。深淵を初めて見たと、このようなテーマを書いたものがあるのかと。初めて“誰かの物語”の中が当時の自分の内奥に刺さったのです。

読んだ後、読み返すことはなかったのですが、ずっと、心の何処かで待機し続けていた感覚がありました。その時を伺って、待っている。
今が、2022年だから、20年近く振りに、その引き出しを開きたくなったのです。
今回も、当時と同じく、小説内のテーマが今の自分にリンクする内容だったから、自然と浮かんて来たと思うのです。
ある時、読み返したいと思う小説があることも初めてだったと思う。

今、「ヘイル・トゥ・ザ・シーフ」も、何年も振りに聴いている。

今ではレディオヘッドへの熱が冷めて、色んなものを聴いて、好きなものも色々できているけど、こんなテーマを引きずり続けて形にしているアーティスト・バンドはそういえば、ほとんど居なかったなと思った。
「ねじまき鳥クロニクル」の第3部の3分の2程を読み返した。最終的にどうなるかを思い出せない。読み返していると、ああ、こんな話だったなと思い出す。
登場人物が自分と重なってくる。主人公にできた顔のアザ、最近、自分の顔の痣が目立つようになった。

レディオヘッドのトム・ヨークも自分と重なる部分が合って好きになった。
僕の片目は、レディオヘッドのトム・ヨークのように、左右で異なる。高校卒業後の春休みに友人の家に泊まって、起きたら片目だけ二重になって、そんなことそれまでなかったのだけど、それから、左右の眼が、左右の考えが生まれて、自分が置き換わって、両極端の広がりができた。半分、どこかで変わった。

半分“どこか”に片足を突っ込んでいる人物のような気がするトム・ヨーク、そこが自分と重なって好きになったことを思い出す。

半分(陰陽)のどちらに傾くのか、それはわからない。

中庸が良いのだと、言う。

日和見主義になっては、いけない。

そんな“アンドロギュノス型”の生き方。

「恋した瞬間、世界が終わる」の“ねじまき鳥クロニクル”覚え書き1

小説 恋した瞬間、世界が終わる

最新話は、11月中にアップロード予定。

「恋した瞬間、世界が終わる」の“ねじまき鳥クロニクル”覚え書き1

ねじまき鳥クロニクル トム・ヨーク 村上春樹 ヘイル・トゥ・ザ・シーフ クロスビート アンドロギュノス

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-10-25

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